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年末年始に行ってよかったデザイン・アート展示

目次
はじめに
デザイナーの鈴木です。
年末年始の休みを中心に、いくつか展示を見に行ってきました。
普段はWebやデジタルの仕事が中心ですが、展示空間や実物に触れることで、また違った刺激を受けることができます。
今回はその中でも、特に印象に残った展示をいくつか紹介します。
時期は少し前のものも含まれますが、どれも「行ってよかった」と感じた展示です。
気楽に読んでいただければと思います。
1.21_21 DESIGN SIGHT 企画展 「デザインの先生」

「デザインの先生」は、20世紀を代表する6人のデザイナーの仕事を通して、デザインがどのように考えられ、社会に向けて提示されてきたのかをたどる展示でした。
会場には、椅子や照明といったプロダクトが並ぶだけでなく、「なぜその形になったのか」「どんな観察や問題意識から出発したのか」といった思考の背景が、言葉や資料とともに丁寧に紹介されています。印象的だったのは、完成品そのものよりも、美しさや機能が生まれるまでのプロセスに重きが置かれていた点です。
同じ用途のプロダクトであっても、デザイナーごとに全く異なる形に行き着いており、デザインには一つの正解がないことが示されていました。
彼らが向き合っていたのは、単なる見た目の美しさではなく、「どう使われるか」「どう作られるか」「どんな生活や社会を形づくるか」といった問いだったように思います。
その結果として生まれたプロダクトが、今見ても古さを感じさせない点も印象的でした。
作品を鑑賞するというより、デザイナーたちの思考を追体験するような感覚があり、「デザインを学ぶ」「考え直す」という意味で、とても示唆の多い展示でした。
2.世界のブックデザイン 2024–25
ドイツ、日本をはじめ、カナダ、オランダ、中国、ポーランド、ポルトガルなど、各国のブックデザインコンクール受賞図書約180点が集まる展示。
紙・印刷・製本・タイポグラフィなど、「物理的な本」としての完成度を実物で体感できる貴重な機会で、展示されている書籍はすべて手に取って閲覧可能です。
装丁は単なる表紙デザインではなく、本の内容や思想を視覚的に伝える役割を担っており、実際に触れて初めて分かる質感や構造の工夫が随所に見られました。
国ごとに異なるデザインアプローチや美意識の違いも明確で、紙の選定、製本方法、インクの質感、レイアウト設計まで含めて、「読むためのデザイン」がどのように成立しているのかを考えさせられる展示でもありました。
中でも印象的だったのは、日本のものですが、『チ。―地球の運動について― 豪華版』。
惑星をモチーフにした全8巻の装丁や、透明PETカバー、天銀仕様、ロゴ形状に切り抜かれた収納BOXなど、内容と造本が強く結びついた設計が際立っていました。
3.織田コレクション ハンス・ウェグナー展

今回の展示では、ハンス・ウェグナーがデザインした椅子が数多く集められており、会場に足を踏み入れた瞬間、その圧倒的な物量に目を奪われました。これほど多くの椅子を一度に目にする体験はなかなかありません。
特に印象的だったのは、椅子を構成するパーツが分解され、標本のように展示されていたセクションです。完成形では見えにくい構造が可視化されることで、ウェグナーの設計の緻密さが直感的に伝わってきました。
また、精巧なミニチュアの展示からは、スケールが変わっても失われない造形の美しさと、デザインそのものの完成度の高さを感じました。暗く抑えられた空間の中で、一脚ずつ照明に照らされる展示室も印象的で、椅子そのものの存在感が際立っていました。
ウェグナーの椅子は、人体の構造や多様な座り方を前提に設計されており、機能性と造形性が高いレベルで両立しているそうです。職人の手仕事を大切にしながらも、大量生産を取り入れる姿勢からは、現実に根ざしたデザイン思想が感じられました。
実際に椅子に座れる体験コーナーも含め、鑑賞と体験を通して理解を深められる構成で、単なる椅子展にではなく、ウェグナーの思想と椅子の奥深さに触れられる展覧会でした。
4.浜田雅功展 「空を横切る飛行雲」

お笑い芸人・ダウンタウン浜田雅功さんによる絵画作品を中心とした展覧会。 独特のタッチやユーモアのある作風は以前から知られていましたが、本展では、その予想外さやツッコミどころも含めて楽しめる展示構成になっていました。
会場では、映像やオブジェとともに約100点の作品がテーマ別に展示されています。 意味が分かるものもあれば、「これは何だろう?」と首をかしげてしまう作品も多く、思わず笑ってしまいます。 冊子に添えられたコメントや音声ガイドを併せて鑑賞すると、作品の“分からなさ”が、面白さへと変わっていきました。
浜田さんの絵はいわゆる「上手い絵」とは異なり、発想や違和感が前面に出ています。 富士山の絵が飾られた銭湯や居酒屋、家の中の茶の間やダイニングなど、どこか懐かしい風景の中に作品が配置され、不思議でな世界観が印象に残りました。
本展は、完成度の高さを味わうというよりも、「分からないけれど、なぜか面白い」という感覚を楽しむ体験型の展示でした。
おわりに
4つの展示を通して、完成されたものを見るだけでなく、 その裏にある考え方や姿勢、発想の違いに触れる時間になりました。 どれもジャンルは異なりますが、「見る」「考える」「感じる」楽しさがそれぞれの形で用意されていたように思います。
これから展示に足を運ぶ際の、ちょっとした参考になれば幸いです。



